杉並区のゴミについて学生時代にまとめたレポートを臆面もなくさらしてみる

杉並区のゴミについて、2006年まちいくが学生だった頃に課されたレポートを臆面もなくさらしてみる。課題のタイトルは『自治体の廃棄物処理行政の実情を調査し、問題点または課題を指摘し、あるべき今後の方向性について所見を述べよ』というもの。

杉並区のゴミについて書かれたサイトは多々あると思うものの、2006年にいちへっぽこ学生が感じた所見を公開してみるのも面白いのではないかと思い、少し悩んだ末、投稿に踏み切った次第です。事実情報は現在より古くなっているものもあるので、最新情報は区のHPなどで確認ください。杉並区 生活ガイド – 清掃、ごみ、リサイクル

杉並区のゴミ

杉並区のゴミについての方針

杉並区のHPには、「平成13年10月12日に環境マネジメントシステムISO14001の認証を取得し、環境先進都市をめざして、地域のモデルになるよう率先して環境保全活動・環境配慮行動の実践に取り組んでいます。」とあり、随所にその努力が見られる。

杉並区環境マネジメントシステム(ISO14001)実施状況報告書 を毎年公表しているなど、「環境問題を考えています」的なスローガンに留まらず実践的な環境対策をしていることがうかがえる。

*ここで、統計資料を基にした杉並区のゴミ量の経年変化グラフが挿入されていますが、小さすぎるため載せられません。

23区の平成元年~14年ベースのゴミ収集量をみると、減少の傾向が見れる。それにリンクする形で、杉並区のごみ収集量も平成9年~16年ベースで、若干の増減はありつつも微減の傾向があることが分かる。特に杉並区の可燃ごみはほぼ一定の率で削減が進んでいることが分かる。平成10年~11年の大きな減少は、資源ごみの項目が加わったことにより、それまで可燃だったものが資源にまわされるようになったためと考えられる。

杉並区のゴミの分別

  • 可燃:生ごみ、紙くず、衛生用品、せん定した枝、木くず、衣類(化学繊維の衣類を含む)など
  • 不燃:金属ガラス 陶磁器 プラスチック 発泡スチロール ゴム 皮革 蛍光管 電球 乾電池など
  • 資源:〈古紙〉新聞紙  チラシ  雑誌  書籍  段ボール  紙パック (裏面が白色のもの)〈飲食料用ガラスびん〉〈飲食料用アルミ・スチール缶〉

これらの仕分け方や、他の分かりにくいごみの出し方なども解説され、分からない場合の問い合わせ方法も追記されていた。特に添付資料として、つまようじや卵のからなど非常に細かいものの分別方法も詳細にわたり説明されているものがあり、圧巻だった。

*といって杉並区HP内のPDFのURLを示す。確かに今見ても圧巻。見たい方はこちら

杉並区のマイバック運動

さらに目を引いたものが、レジ袋削減のためのいくつかの運動である。杉並区のマイバッグ運動は杉並区レジ袋削減推進協議会の主導で進められており、他自治体からの視察も受けるなど一定の成果をあげているようである。毎年行われる「マイバック等持参者調査」では、調査ごとにその率をあげており、平成17年には買い物客の35.2%となっている。また各種イベントなど、啓発活動を行っている。

また、実施時期は未定となっているものの、「平成14年3月18日には、買い物などの際に商店などから譲渡されるレジ袋1枚につき5円の課税をする『すぎなみ環境目的税条例』が可決されました。」とあり、廃棄物処理行政に対する積極性を感じた。

2010年現在の状況はと言うと、平成16年にはレジ袋削減推進協議会より区長・議長にレジ袋有料化の要請があり、平成19年にはレジ袋有料化に踏み切る事業者が相次ぎ、平成20年にはレジ袋有料化を推進する条例が制定された。詳しくはマイバッグ推進関連情報

杉並区のゴミの象徴的存在、杉並清掃工場

杉並清掃工場は、運営は杉並区ではなく、東京23区清掃一部事務組合となっているが、杉並区の廃棄物処理行政を考える際に欠かせない存在であると思う。地元住民との8年もの抗争のあとに、住民の意見を取り入れるなど当時前例のない和解内容により生まれた。その特徴は、

  • 周辺環境との調和:地盤を10mほりさげて建設。近くへ行って観察するとかなり”潜って”いる
  • 公害防止設備の充実:排ガス・排水処理・悪臭防止・騒音振動防止など
  • 熱エネルギーの余熱利用:発電を行い、清掃工場内で使ったり、余った電力を東京電力に売却、隣接する温水プールなど施設へ給熱している
  • ISO14001の取得:自治体の清掃工場としては全国で始めて認証取得

当時このレポートのために、杉並清掃工場に出向いて行ったのを覚えている。といっても超地元なので歩いてすぐだが。また、小学生の頃、社会科見学かなんかで中に入れてもらい、説明を受けたことも思い出す。説明の内容は思いだせない。

私の祖母は、この清掃工場の建設の反対運動に関わっていたとのこと。そりゃ、近所にゴミ焼却所が出来るなんて、住んでいる人にとっては堪らないから、当然のことだ。排ガスの影響など心配だったに違いない。周辺住民の健康への影響はどうかというと、私はこれまで生きてきて、杉並清掃工場のせいで体調が悪い、なんていう人を見たことがありません。

また、各地よりこの工場へゴミが運ばれてくるわけだが、トラックは少し離れた環八のとあるスポットから秘密の地下道を通ってくる。子どもの頃はあの飲み込まれるようなトンネルが少し怖かったが、周辺住民への配慮、という大人の事情から出来たものなんだな、と今では納得している。

杉並ゴミ半減プラン

平成16年に制定されたゴミ削減プランも、杉並区の廃棄物処理行政の大きな指針となっている。今後10年間で家庭ごみを40%削減しリサイクル率を43%まで上げることを目標としている。この高い目標をどのように達成するか、一部ではあるがその例を資料から抜粋する。

  • (上記のマイバッグ運動と絡めて)レジ袋等の削減
  • 廃プラスチックのリサイクル
  • ペットボトルの収集拡大
  • 集団回収の強化(複数家庭ごと、商店街ごとなど効率的に収集するための工夫)
  • エコ商店街事業(商店街ごとの廃棄物対策の指導・促進)

資料ではこれらについて非常に高い削減率を目標として設定していて、これらを総合すれば10年後に40%の削減が実現されるとしている。以下当時の区長の前文を一部抜粋。

確かに、ごみ半減プランの高い数値目標を達成することは、なかなか容易なことではありません。しかし、少し節約して何とか変えようという目標では、生活そのものは変わっていかないでしょう。40%減量というあえて高い目標をもって進めることによって、生活の仕組、あるいは社会のシステムそのものを変えていくきっかけになると思います。ここは大いに知恵を出して、この高い目標を達成するという意欲をもってやることが非常に大事なことだと考えております。このような意味から、杉並ごみ半減プランは環境先進都市を目指す杉並区の骨格となる計画のひとつであると考えております。

*これについてもPDFがあります。杉並ごみ半減プラン

杉並区のゴミについて課題とあるべき方向性

今回調べてみて、杉並区の廃棄物処理行政に対する姿勢の強さを感じた。この点については認識を改められ、高い評価をしたい。23区の中でも廃棄物排出量は少ない方から7位となっており、この点も評価できる。その中で、ごみ削減プランにあるようなさらなる高い削減目標を達成するためには、以下のような課題と対策があると考える。

広報の重要性とマーケティング

私は、今回の調べの中で杉並区の廃棄物処理行政への取り組み方に関して知らないことが多く、調べていくうちに杉並区への評価が高くなった。杉並区が行ったアンケート調査では対象区民800人程度に対して7割以上が区内報を読んでいるとあった。ところが実際の区内報を見てみると、およそ読みやすいフォーマットとは言えず廃棄物処理行政に関する記事も目立つものではなかった。

またリサイクル報に関しては読んでいる人は2割程度しかいない。10年で40%削減という高い数値目標を達成するためにはリサイクルの推進が欠かせないのに関わらず、この程度の読者数では心もとない。

杉並区が持っているごみ削減への高いモチベーションを区民と共有するための広報活動が課題であり、そのための方策を練ること、マーケティングの手法の導入などが新たな道筋となっているのではと思う。今回の調べのように杉並区のHPの深いところまで探り、調査書をダウンロードして読むというような作業を、一般の廃棄物を排出する区民全般がやっているとは考えにくい。詳細に渡らずとも、その意欲の高さを区民にもっとアピールし共有していくことが、目標達成のために、つまり杉並区の廃棄物処理行政のために、必要ではないか。その対策として、企業やNGOなどの力を借り、新たな周知活動を模索する段階に来ている。

目標達成のための監査機関の設置・区民の目

目標数値が高く達成が容易ではないことと、目標が達成できなかったときの罰則規定に類するものがないことが気にかかる問題点だ。内部でも外部でも、民間調査会社やNGOなどの力を借り調査を行い、その達成度を調べ、そのプロセスや結果を区民に開示して情報の共有を図る必要がある。上の項とも相まって、行政の活動を区民に知らせ意識を共にする施策が必要である。

資源化施設の確保等の基盤整備

ごみの減量化、リサイクル等の拡大に向け、基盤となる選別・圧縮・梱包施設等の資源化施設について確保を図る。

関係区や工場運営との連携

新たな「自区内処理の原則」を踏まえた、関係区との連携した収集運搬サービスの向上など。ごみ半減プランの中で、杉並中継所の廃止という目標があるが、そのための環境整備。

杉並区のゴミについて総括

以上の調査を総括して、杉並区の廃棄物処理行政、廃棄物をこれから削減していこうという姿勢は強く、また現状においても徐々に全体量は減少しているため将来の数値目標も実現性が感じられる。今後、杉並区が環境先進都市として変革し続けるためには、これら高い目標の実現をし、その成果を内外にアピールしていくことが期待される。

そのためにはこれまで以上に、行政・企業・区民が一体となった活動が望まれる。具体的には行政のトップダウンだけでなく、民間企業やNGOの力を借りた新しい経営体制が必要になってきている。より効果的で効率的なノウハウを企業から得、廃棄物の排出主体である区民や事業者と連携をとっていくこと。そのために自治体の活動と方針がもっと開かれて知らされていくことが必要だ。

具体的には、区民に現状を把握してもらうための方策のひとつとして、教育機関や各種コミュニティ施設への環境教育の充実、祭りやコミュニティイベントへの周知広報活動の推進など。このようなソフトパワー面を強化することは長い目で見て重要だ。それと並行して、ごみ有料化・環境税導入など、施設の増設・改築などハード面での改良も行っていく。またこれら全体を、自治体としてだけでなく受益者である区民と共同できる場面を増やしていく。

杉並区はマイバッグ運動など環境面で努力していて評価もある自治体だ。さらにその努力をつづけ、環境先進都市としての未来像に近づくため、以上のような活動が求められる。

杉並区のゴミについて調べるにあたって訪れた場所

杉並区役所

廃棄物処理に関する資料を収集するために、阿佐ヶ谷にある区役所の環境清掃部環境課を訪れた。エレベーターで7階に降りるとすぐに、家庭用生ごみ発酵装置や各種環境パンフレットが目に付く。ごみに関する区内報など、杉並区の廃棄物処理行政の理解に役立つ資料があるが、一般の人はここまで来てわざわざ読みにくるとは思えない。私自身1度も見たことのないものが多かった。課の対応は丁寧で、資料を希望している旨を伝えると迅速に対応してくれた。

すぎなみ環境情報館

荻窪駅南口にあり、児童館などが入った公民館のような施設の中にある。こちらも対応は丁寧で、資料を探すのにきちんと時間を割いてくれた。建物には小規模なビオトープや屋上~建物上部を覆うような花壇があった。中では環境NGOのような団体が会議をしていた。各種環境イベント・環境教育のお知らせをポスターで告知していた。

リサイクルひろば高井戸

高井戸駅すぐにある。区民間の不用品・必要品の交換・販売を仲介している。1階は売り場になっていて、リサイクル品の販売を行っていた。各種イベントの告知や関連資料ラックの設置が見られた。環境情報館と同様に、ガラス張りで開放感のある作りになっているが、知名度はいまいちだと思う。

杉並清掃工場

建設を巡って地元住民との抗争があったためか、周辺や環境に対する配慮が感じられる。まずごみ収集車は1kmほど離れた環八から地下に通された専用道路を使って行き来する。そのため周辺では収集車は全くといっていいほどみかけない。また入り口には煙突からの排出ガスの成分内訳がリアルタイムで表示される電光掲示板がある。見学なども随時受け付けている。しかし、受付に入ったものの内部は暗く、資料が置きっぱなしになっているだけで外に開かれた印象は薄い。それだけ地元住民の理解が得られているとも言える。

レポートをさらすなんて破廉恥なことはこれっきりにしたい

ところどころ現在の状況や感想を差し込みながらだが、ほぼ、2006年当時のままレポートをさらしてしまった。事実情報がそもそも間違っているかもしれないし、変化しているところもあるので、確かな情報は杉並区HPを参照してください。杉並区 生活ガイド – 清掃、ごみ、リサイクル

こんな文量、質、ではたしてレポートになるのか、という疑問が今沸いてきた。はたしてこの授業で単位はとれたのだろうか、全く記憶に残っていないが、調べているうちに何だか楽しくなってきて、自転車でいろいろ巡っていたのは覚えている。その割には、何も調べなくても言えるようなことしか言っていない。あれから4年、私は変われただろうか。

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