杉並水素ステーションは次世代車社会を担う実証施設

杉並水素ステーション、twitterで知りましたが、杉並区宮前に突如、水素スタンドが現れたそうです。富士見ヶ丘~高井戸の間。次世代の水素を燃料に活用した車両用のスタンドなんだろうなー、とまでは想像できるものの、ネットで調べても分かりやすいページがない。本日、直接訪問してお話を伺ってきました。頂いた資料の転載を交え、レポートします。

東京・杉並水素ステーション

東京・杉並水素ステーション

まず、正式名称は『東京・杉並水素ステーション』。スタンドではありません。2010年12月15日に開所し、羽田空港/成田空港と都心を結ぶ燃料電池バス/ハイヤーを対象として水素を供給している。なので一般車両は使うことが出来ません。といっても水素一般車両はまだ流通してませんよね?

環八から井の頭街道を吉祥寺方面に行きます。インド料理、中華料理、ENEOS、NEC、ODELIC、、ときてその隣にあります。杉並区宮前1-17-10

出来たてですから綺麗です。油も排ガスも無いわけですから本格運用が始まってもあまり汚れないのかもしれません。写真のように、見た目は通常のガソリンスタンドのよう。すぐ左に事務所があり、御無礼にも私はつかつかと訪問してしまったわけです。

吉祥寺方面のお隣は高井戸警察署。これなら夜間鍵を閉め無くても安心ですね。JXさんによれば、「夜間は、セコムの機械警備を行なっていますので、不用意に入ると隣の警察署から警官が飛んできます。」とのこと。セキュリティ体制は万全ですね。

これ、一体なんのための建物なの?資料から抜粋

東京・杉並水素ステーションは、経済産業省の「水素利用社会システム構築実証事業」の水素供給インフラ・燃料電池自動車の本格普及に向けた実証事業である「水素ハイウェイプロジェクト」の一環として、水素供給・利用技術研究組合(HySUT)により設置された、水素カードル供給によるオフサイト型水素ステーションです。

本ステーションは2010年12月より、JX日鉱日石エネルギーがHySUTから委託を受けて、建設・運営しています。

水素ハイウェイプロジェクトでは、羽田空港~都心間を結ぶ燃料電池バスと、羽田空港/成田空港~都心間を走行する燃料電池ハイヤーの、高速道路を使った定期運行実証を行い、本ステーションではこれらの燃料電池自動車に水素を供給します。

本ステーションでは、製油所などで製造した高圧水素ガスを水素カードルで運ぶオフサイト型水素供給方式の実証を行っています。

なんとも分かりにくい資料でした。ひとつひとつ見ていきます。

水素利用社会システム構築実証事業

この事業の目的は、エネルギーセキュリティや環境対策の観点から今後重要な役割を担うものとして期待されている水素エネルギーの普及・促進を図るため、高速道路で燃料電池バスを定期運行することやパイプラインで家庭に供給した水素を利用することなど水素を安全・簡便に製造・輸送・貯蔵・利用する社会的な実証事業を実施し、一般的にまだ馴染みの薄い水素エネルギーについて親近感を与えることを目的とするもの。

EICネット[国内環境ニュース – 平成21年度「水素利用社会システム構築実証事業」に係る提案の公募結果を公表]

なるほどー。経済産業省資源エネルギー庁による公募で、目的は「水素エネルギーについて親近感を与える」こと。実証実験でなく、実証事業という言葉を使っていることからも、本気度が伺えます。もちろん全てのエネルギーが水素に置き換わるほどの社会変革を計画しているわけではないでしょうが、ひとつの選択肢として水素は如何だろうか、という真剣な検討をしていることが分かります。

水素ハイウェイプロジェクト

水素ハイウェイプロジェクトは、将来の「低炭素社会」を担う輸送システムとしての継続可能なモデル事業として、首都圏に簡易/可搬式水素ステーションによる水素エネルギー供給網を構築し、一般法人ユーザーの運行する燃料電池自動車への水素供給を行うプロジェクトです。

水素ハイウェイプロジェクト

水素ハイウェイプロジェクト

水素供給・利用技術研究組合(HySUT)

多くの石油・ガス・エネルギー系事業者が集まって出来た組合。社会実証試験を通じた水素供給ビジネスの検証を事業内容としています。

  1. 水素供給インフラの設置・運営:ステーション仕様検討、供給・ステーション配置計画の策定、製造・出荷・輸送設備、ステーションの建設、メンテナンス、水素または水素原料の仕入れ、配送、供給、ステーションでの試験販売、ステーション運営
  2. 燃料電池自動車等、水素利用の管理運営

水素供給・利用技術研究組合(HySUT)

オフサイト型

羽田のステーションはオンサイト型といわれ、都市ガスを改質して水素を製造する機能を有したステーション。一方の杉並のステーションはオフサイト型といわれ、水素の製造設備は有さず、搬入された水素を使用する。

羽田で燃料電池バスによる定期運行開始 水素ステーションも開設|eJ.magazine

通常のガソリンスタンドも原油からガソリンへ精製する施設を備えているわけではありませんね。専用のトラックが水素を運んできてそれを利用するんですね、それがオフサイトだと。都市ガスを改質するオンサイト型も面白そうですね。都市ガス網は既にあるわけだから、水素ステーションでそれを水素に改質させる。これならトラックも不要になりますが、どうなんでしょうか。

杉並水素ステーションシステムフロー

JX日鉱日石エネルギーによるプレスリリース

「HySUT水素ハイウェイプロジェクト」における「東京・杉並水素ステーション」が開所

杉並水素ステーション、だんだん分かってきたぞ

なーるほど、次世代の水素車社会実現に向けた、実証事業というか実証施設なわけですね。いろいろな事業者が組み合わさって、国もテコ入れして、エネルギー問題を根底から変えちゃうような大きなウネリを起こそうという気概が、我々一般人に見える形でついに表出した、そういう施設だという認識で大丈夫かな。

水素エネルギーが実際普及するのか、経済や環境への効果はどうなのか、そのあたりは書きません。

さて、経済産業省の水素利用社会システム構築実証事業の目的として、一般的にまだ馴染みの薄い水素エネルギーについて親近感を与えること、があります。普及の初期段階として、まず知ってもらう、ということですね。

現状、杉並水素ステーションは一般に馴染み深い親近感を与えているでしょうか。お世辞にもYesとは言えず、通りすがっただけではどんな施設なのかほとんど見当がつきません。お話した方はとても丁寧に応対してくれ、地域との繋がりも考えていきたいとのことで、事業の目的とも合致しています。この記事がそれに資することができれば幸いです。

この記事で使っている素材についてなど追記

写真3枚の1枚目はまちいくが撮影したもので、2枚目、3枚目はHySUTさんのHPが出典です。また、記事を公開したのち、HySUTさんから、「ご注目頂いてありがとうございます」という嬉しいコメントを頂きました。

地域と打ち解ける施設となることを期待しています。

©2017 まちいく

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