西荻窪

いい感じの田舎っぽさ 意外な有名人もいる

最小にしてもっとも田舎

西荻窪

西荻窪は、杉並区内の中央線4駅中、もっとも規模の小さい街である。荻窪のようにターミナルであったり、高円寺や阿佐ヶ谷のように、他所から人を呼んでくる「売り」になるようなものもない、お隣の吉祥寺も、かなり栄えているので、それに挟まれた西荻窪は、典型的な郊外の駅である。

ただ、それだけでは終わらないのが杉並区のすぎなみくたるゆえん。西荻窪は西荻窪で、結構癖があるのだ。

まず、有名なのはアンティーク。家具から雑貨まで様々だが、ともかくアンティークを名乗る店が多い。というと、えらく盛り上がっているように聞こえるが、実際は生き残る店はわずかなもので、大半はいつの間にかなくなっている。イメージに踊らされるとこういうことになるという証左だが、とはいえちゃんと営業を続けている店が、こんな郊外駅にあるということもこれまた事実だ。

駅周辺には戦後のバラックから続く汚い飲み屋街があるし、パチンコも盛んだ。駅の周辺は全部狭い道で、バスが通るとすぐに轢き殺されそうになる。

このように、西荻窪は高級なんだが安っぽいんだかよく分からない、というかどちらの要素も大きく持った街なのである。

多くの人種が集まっている

こうしたよくわからなさは、要するに住民の「人種」の問題である。他の駅は、高円寺であれば「音楽系+一般人」、阿佐ヶ谷であれば「演劇系+一般人」、荻窪であれば「基本的に一般人」などと大体の傾向を分かり易く分類できるのだが、西荻窪は、かなり多様な人種が一緒に存在しているのである。

その中で、ある程度目立つというか、イメージされるのは「文系」である。小説であったり、マンガであったり、アニメであったりとその内容はいろいろだが、確かに街の規模に対して書店の数が多いし、マニアックな昔ながらの古本屋等もしぶとく営業を続けている。これは、マンガ、アニメ文化などの発信地の一つとして存在感を放つ吉祥寺の隣と言うことが言えるだろう。吉祥寺では正直高すぎるが、西荻窪であればなんとかなる、という層がイメージできる。

これに加わるのが学生の存在だ。大学の集中する都心部へのアクセスに優れ、それでいながら安いアパートも高いアパートもあるという杉並区にはどの駅にも学生が多く住んでいるのだが、西荻窪は特にそのにおいが濃い。それもそのはず、杉並区内で唯一、東京女子大学と言う有名総合大学の最寄り駅となっているからである。

東京女子大があることは、アンティークショップが多いことと何らかの関係がありそうだが、よりいっそう目立つのが美容院の多さ。こんなにあったら食い合って全部つぶれるんじゃないのというくらいに多い。吉祥寺との近さと東京女子大の存在が、これらのイメージを作りつつ、いろいろな人種が隣り合って暮らしているという、なんだかよく分からない空気を作っているのではないか。

善福寺エリアは西荻窪のものなのか

杉並区内の人気エリアとして、永福や浜田山などの井の頭沿線と区の西北にある善福寺公園を中心とした善福寺エリアがある。この善福寺エリアの最寄り駅は、杉並区内なら西荻窪だ。前出の東京女子大も住所は善福寺なので、ここも西荻窪エリアに含むことはできる。だが、住民によると、あまりそのような感覚はない。駅周辺の人間は、「あんな不便な場所」的な感覚でいるし、善福寺の人間は「お前らとは違う」と言うような感情がある場合もある。もう全然一体感が無いのである。

だが、この感覚もあながち分からないでもない。両者の街並みの違いは結構大きいのだ。

両者とも、面積的にはアパート、マンションなどの集合住宅よりも一戸建てのほうが多い。一戸建てをみると、西荻窪エリアは一部を除いて小さな家が多いのに対し、善福寺エリアには1980年代以降に建てられたと思しき、中規模の家が多い。つまり、西荻窪のほうが庶民的で、善福寺になると小金持ちテイストが強いのである。このように、同じ駅を利用していても、ちょっとした住所の違いで、結構差が出てくるのだ。

意外に有名人が住んでいる

西荻窪は、意外に有名人が多い地域だ。有名なところでは先日惜しくも亡くなった丹波哲郎氏など。有名な俳優や作家などが、多く見かけられる。

杉並区は文化人や芸能人などが比較的多く住んでいる土地ではあるが、西荻窪はその中でも見かけられる人数が多い。これにはふたつの理由が考えられる。ひとつは、西荻窪と有名人が多い井の頭線沿線エリアの距離が近いことだ。

中央線と、井の頭線は、吉祥寺を出発してから徐々に離れていく。西荻窪のみ、徒歩・自転車でそれほどストレスなく井の頭線エリアと行き来できる場所にあるのであり、久我山などは、一応西荻窪エリアになる。こうした距離感が、広範囲から人を集める要因となっている。もちろん、人気の善福寺がふくまれていることも同様の効果が感がられる。

もうひとつは、西荻窪が文化の中心地でないということだ。人間の心理として、「若いころは会社の近く、歳をとったら郊外へ」などというものがある。高円寺、阿佐ヶ谷などはそれぞれ文化の中心地であるが、これを避け、「杉並区の郊外」である西荻窪を選択するというものだ。もちろん「もともと住んでいた」といった理由のほうが強いだろうが。

他所から人が来ないことが西荻窪の「らしさ」

このように、西荻窪は高円寺や阿佐ヶ谷などの「杉並文化の主役」とも、「ターミナル駅」荻窪友違い、住民以外があまり訪れない流入人口の少ない地域である。これが、多人種地域となる要因だろう。高円寺や阿佐ヶ谷であれば、その文化を求めて他の地域からやってくる人がおり、地元の店舗や住民の傾向を加速させる。これに対して他所から人がやってこない西荻窪は、どこかの方向へ引っ張られることが少なく、それぞれが好きなように勝手にふるまっているわけだ。

これこそが、何でもかんでも「何となく」受け入れてしまう西荻窪という街の特徴だといえるのではないだろうか。

参考:日本の特別地域特別編集 東京都杉並区

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